こんにちは、千葉県市川市の社会保険労務士 渡辺 巖(いわお)です。
先日、大塚家具の社長退任の発表がありました。現在、大塚家具はヤマダ電機のヤマダホールディングスの傘下にありますが、5期連続赤字の業績悪化の責任を取ったか、取らされての退任だと思います。
5年前に、東証一部上場会社である大塚家具の創業者社長である父親と娘のどちらが社長になるべきかが争われ、最終的に株主総会で娘の久美子氏に軍配が上がったことは記憶に新しいことです。新しい社長は、一橋大学出身の頭脳明晰でマーケティングには長けていたようですが、同族経営の根本が分かっていなかったように思います。同族会社においては、主張も大事ですが引くという姿勢もないと、会社自体が成り立たなくなります。その下で働く社員はたまったものではありません。
当時の大塚家具は、高級家具というイメージがあり、ショールームには入りにくいという感じでした。それを、ニトリやイケアのような低価格路線に持っていき、もっと顧客層を広げるというのが新しい社長の路線だったように捉えていますが、うまくいかず。自分が育てた会社を娘に追い出された父親は、新たに大塚匠という、これまでの高級家具の会社を立ち上げ、こちらの方はうまくいっているようです。
一言でいえば、大塚家具という上場会社を育てたにもかかわらず、親子喧嘩が原因で、その会社を第三者に譲ることになったという、非常に残念な話です。こういうことは、数人の会社でもどうかと思いますが、現時点でも千人近い社員がいて、この有様。家具職人だった父親、机上理論に長けていた娘、水と油だったのでしょうか?大塚家具はもともと高級家具を求める富裕層がターゲットであり、それが強みだったのだと思います。その強みをマーケティング・コンサルタントのような目線で見てしまい、さらには、自説を曲げず、株主争奪戦にまで発展させてしまった娘。自説を通すには最良の手段だったかもしれませんが、会社イメージを悪化させ、更には、大切な社員を他社へという形になり、多くの人の人生を狂わせてしまったことになります。身の程知らずというか、会社経営には向いていなかったように思います。